京都府福知山市の映画館。ラインナップが少し不思議な映画館。

ご家族でお楽しみいただける娯楽作と、映画プロデューサーも兼ねる支配人が
選りすぐった硬派な作品を上映しています。

連載:20世紀の少年少女へ(4)

テーマ:◉ 映 画 情 報【連載】
浦沢直樹とヒーロー

20世紀
ヒーローの存在は、戦後の日本人にとって非常に大きな存在だったように思う。
正義が悪を懲らしめるという、勧善懲悪の簡単な図式が疑うまでもなくリアリティをもって受け入れられたのは、昔の時代の特権だった。特に子供たちにとっては神に等しい絶対的な力を感じただろう。

いつから、ヒーローはいなくなったのだろう。

情報化社会によって人も社会も複雑化する世の中で、ヒーローはひっそりとこの世を去ってしまった。だが、現代社会には見えない敵という新たな敵が現れ(テロなどの姿の見えない脅威などのこと)、民衆は自分たち以外の誰かがなんとかしてくれると、締念・無気力さが世をはびこっている。

それでもまだ、民衆はヒーローの必要さに気がつかない。

今こそヒーローが現れる時だ!


        (C) 2008 映画『20世紀少年』製作委員会

...と、いう誇大妄想じみた考えに怖さを感じないだろうか?
これこそ、20世紀少年の大枠なのだ。浦沢直樹は昔の時代からヒーローを現代的なアプローチで蘇らせてくれた。徹底したリアリズムによってだ。荒唐無稽な子供の妄想が現実になると、これほど怖いものなのか。戦争も始まってしまうと、虐殺によってどちらかが降伏するまで行われる。見方を変えると、戦争も理性的な大人の発想ではない。

「20世紀少年」の、スリラー/サスペンス要素は、ヒーローが世界を救うという図式を現代の社会に置き換える事で表出させた。これもまた、浦沢直樹自身の20世紀の総括であると言えるだろう。

浦沢直樹は、「21世紀少年」において、現代の人々へ「これから」を示そうとした。21世紀は始まったばかりだが、すぐそばに20世紀があるのは言うまでもない。21世紀という時代は、過去と現在を行き来しながら形作られていく可能性がある。それほど人類にとって「20世紀」は大きいように思える。

「20世紀少年」という途方も無い物語は「希望の可能性の模索」とも言えるかもしれない。

                                 (4.5)へつづく





20世紀少年 第1章
11月1日(土)より上映

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